夢現

恋をする事が恥ずかしかった子供時代。

些細な迷いや思いつきを、躊躇無く吐き出せる友人達が羨ましかった。


「好きな人なんて居ないもん」
嘘ついてた。


九つの時にはうっすらと意識して、十一の時には特別だと認識していた。
人気者で優秀な男のコ。
友人達の殆どが彼に1度は恋をした。

今更卑怯な自分の想いを、陽の下には晒せなかった。
不思議と縁があったのに、想いと反比例するように接せなくなっていた。天の邪鬼。


中学に上がり、漸く友人に打ち明けられた。

流石に魔法の有効期限が切れたのか、離ればなれに。
私は入院生活を始め、週末だけ一時退院。
部活に顔を出し、音楽室や教室からグラウンドの彼の姿を探した。

初めてのバレンタインチョコを渡した。
あの時間はドラマの様に素敵で、最高の思い出。しかし、曖昧なままに終わり、いつまでも引きずる結果となった。


ぐだぐだ。


未だ私はぐだぐだのまま。
成長出来ていないんです。


大人の恋ってなんだろう?
子供の恋も分からないままなのに。



・・・上手に軌道修正して行けるのかな。


知りたい事を手に入れられるボタンさえ、クリックするのが恐ろしいのに。


想いの加減が分からないよ。

楽になれるのなら、全て捨てても構わない。
逃げ道が脳裏にちらつく。



曖昧な色彩が世界を覆うこんな日は、
夢と現世の狭間で戯言を詠う。